少し前の話になりますが、5月10日に県立浦和図書館からNHKゆうどきネットワークの生中継が行われました。
この放送以外にも各局の情報番組や朝のニュース番組、読売新聞を始めとする新聞各紙で、埼玉資料室と古地図が取り上げられました。
それは「現在の南栗橋駅周辺にあったといわれる沼の名前と位置を確認したい。」という質問から始まりました。
郷土資料の中には、沼の点在を語った古老の記録がありますが、折々の土地の経過を表す地形図から、沼の名前や位置を読み取ることはできませんでした。
唯一明治期に作成された迅速測図のみが古老の記録を裏付ける痕跡を示していました。
この迅速測図がその後話題を呼び、埼玉資料室に多くのお客様が訪れるきっかけとなり、冒頭で御紹介した生中継にもつながったのです。
迅速測図は現代の測量につながる地図として、また大規模な開発が行われる前の埼玉県をうつす地図として、郷土史を研究される方に良く知られている地図です。
自分の住む場所にはどんな歴史があるのか。過去に何が起こったのか。古い地図をはじめ、土地条件図や地質図から、土地に刻まれた歴史を読み取ることが出来ます。また過去の災害史は未来への予測ともいえます。
ご参考に、
埼玉資料室でご覧いただける地図の案内です。
「土地の昔、土地の現在を知るには」
https://www.lib.pref.saitama.jp/stplib_doc/saitama/pdf/tizuannai.pdf
また、県立久喜図書館で所蔵している
『日本の液状化履歴マップDVD 745−2008』
(東京大学出版会 2011)
※貸出はできません。図書館内でご覧ください。
も、過去の地震で起きた液状化の地点など履歴がわかります。
東日本大震災以降、家族や地域のつながりの重要性が再認識されてきました。
9月1日防災の日を前に、水や食料の確保と一緒に、ぜひ知識も備えて下さい。地域の特色に応じた備えはそれぞれに異なるはずです。
各市町村のハザードマップの確認とともに、家族で、地域で、土地の昔とこれからを知るきっかけに、図書館を訪ねてみませんか。
県立図書館のみならず、お住まいの地域の図書館もあわせてご利用下さい。思いがけない発見があるかもしれません。